新聞社から生まれた歌　

～ＳＰ盤レコードコレクション～

　ここでは、これまで新聞社が曲や歌詞を懸賞付きで読者から募集し、入選したものや、新聞社が何かのキャンペーンで作った歌の音源（レコード）を集めたもの。号外や新聞のようにホイホイ出てこないのと、出てきても戦前の軍歌や戦時歌謡のものが多い（ここからも、新聞社が戦争に協力していたことがわかる）ので、ラインナップもそれらが中心になっている。レコードの市場価値については専門外なのでわからないが、少なくとも朝日新聞宣伝歌「町から村へ」は、音源が新聞社にも（少なくとも１０年前の時点では）ないことが確認されており、貴重な一枚。

　それぞれの楽曲の著作権については、消滅していて自由に公開しても差し支えないもの、まだ存続しているものそれぞれなのだが、手元にＳＰ盤レコード（７８回転）を再生し、デジタル化できる機械がないので、殆ど“持ってるだけで一度も聴いたことがない”ものばかりだったりする。

収録曲：

・朝日新聞宣伝歌「町から村へ」

　　作詞：河西新太郎／作曲：古関裕二／歌：伊藤久男

・行進曲「町から村へ」

　　作曲：古関裕二

1,952（昭和27）年（53年という説も。ご存知の方いらっしゃいましたら教えて下さい）。

太平洋戦争開戦直前に行われた新聞の共販制度が解体され、その際に朝日新聞が作った宣伝歌。日本最初期の企業コマーシャル・ソングの一つと言われている。聞くところによると、朝日新聞創刊120周年記念（1999年）の折、記念として「ピアノで歌う　20世紀朝日新聞から生まれた歌」というＣＤアルバムを作成。関係者に配ったという。同ＣＤ収録のため、朝日新聞大阪本社の宣伝部がこの曲を含め、楽曲の音源を探したものの、この「町から村へ」は楽譜しか見つけられなかったとか。その時に発見できなかった貴重な音源が、ここにある。

収録曲：

・軍歌「皇軍大捷の歌」――朝日新聞社懸賞募集入選歌――

　　作詞：福田米三郎／作曲：堀内敬三／歌：徳山璉、灰田勝彦、波岡惣一郎、日本ビクター合唱団
・軍歌「かちどきの歌」――朝日新聞社懸賞募集佳作――

　　作詞：大岡博／作曲：佐々木俊一／歌：安田勝彦、波岡惣一郎、日本ビクター合唱団

1939（昭和14）年。

大阪朝日新聞東亜部編「支那語早わかり」

発売年不詳。中国語の練習用か？

収録曲：

・愛国歌「日の丸行進曲」――東日・大毎懸賞募集当選歌――

　　作詞：有本憲次／作曲：細川武夫／歌：四家文子、中村淑子、徳山璉、能勢妙子、江戸川蘭子、波岡惣一郎

・愛国歌「日章旗の下に」――東京日日・大阪毎日新聞社編――

　　作詞：佐藤春夫／作曲：佐々木俊一／歌：波岡惣一郎、四家文子 

1938（昭和13）年。

収録曲：

・航空の日記念「航空日本の歌」――朝日新聞社選定――

　　作曲：佐々木すぐる／編曲：奥山貞吉／歌：伊藤久男　霧島昇　藤山一郎　二葉あき子

・歌謡曲「空の船長」

　　作詞：西條八十／作曲：古関祐而／歌：中野忠晴、松平晃、二葉あき子・奥山彩子・菊池章子

1940（昭和15）年。

収録曲：

・愛国歌「父よ・あなたは強かつた」――東京大阪朝日新聞社懸賞入選歌――

　　作詞：福田節／作曲：明本京静／編曲：奥山貞吉／歌：伊藤久男・二葉あき子・霧島昇・松原操

・愛国歌「仰げ軍功」――東京大阪朝日新聞社懸賞入選歌――

　　作詞：烏丸一郎／作曲：竹岡信幸／編曲：服部良一／歌：霧島昇・二葉あき子

1939（昭和14）年。