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世にも奇妙な号外 その1

 

 

 しばしば、人から「どんなニュースで号外が出るのか?」と聞かれることがある。政治、戦争、災害、大事件、事故、スポーツ…挙げていけばキリがないので、一言で表現するのはなかなか難しい。かつては煙草や電気代の値上げ、陸海軍人や教職員の人事異動でも号外が出た。一言で片付けようと思ったら「いろんなニュースで号外が出る」としか答えようがないような感じであるが、世の中、こんな号外もあるらしい。

 下の写真は、1896(明治29)年2月8日付の富山県の新聞「越中自由新報」の号外。

 

 記事の冒頭、こんなことが書かれている。

 

 「読者諸君に告ぐ昨夜印刷中俄然器械に破損を生し時限切迫の折柄修復するに遑めらざるを以て詮方なく緊急事件と地方出来のみを記載するの止むを得ざるに至る尤も明日までには充分の修復をなし得べければ此埋合は後日必らず致すべし請ふ是れを諒せられよ二月八日 自由新報社」

 

 この告知文から始まるこの号外、県知事の異動のほか、記事の多くは議会に関する内容で、この他富山市内の各小学校の運動会、富山市内の近衛兵への一時賜金、ボヤ騒ぎ、といった記事も載っている。どうやら、新聞本紙を印刷しようとして機械が故障し、本紙の発行が出来なくなったために号外を発行したらしい。

 

 機械のトラブルで本紙の印刷が出来なくなったのに、号外の印刷はできるのか?、「昨夜印刷中俄然器械に破損を生し…」ということは、読者全体に行き渡る部数は印刷できなかったにせよ、幾分かは印刷されて配布(配達)されたのか?

 

 冒頭の話に戻るが、「どんなニュースで号外が出るのか?」という問いの答えの一つに、「印刷機の故障」というのもあるということが、今回わかった一枚だった。

 

 

 

 

 


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